12兆米ドルの市場機会の創出
2017年にビジネスと持続可能な開発委員会(Business and Sustainable Development Commission)が発行した報告書には、SDGsを追求することでどのように2030年までに毎年12兆米ドルの新たな市場機会を創出し、その過程において3億8,000万以上の雇用創出を実現できるかが示されています。
「企業リーダーは包摂的な成長と機会を推進していく上で大きな影響力を発揮する必要があります。この取り組みを無視できるような企業は一つとしてありません。民間部門の投資の恩恵を得ないグローバル目標というものはありません。」
アントニオ・グテーレス国際連合事務総長
SDGsの課題の実施は基本的に、各国政府の判断によりますが、民間部門の協力無しにこれを実現することはできないというのは純然たる事実です。
企業が果たすべき不可欠な役割
民間部門は、全世界で社会的に最も貧困に苦しむ地域の生活を改善出来る立場にあります。開発途上国においては、企業はGDPの84%、雇用機会の90%を担っています。企業は世界的に持続可能で、かつ社会的に包摂的な経済開発の約束を実現することが求められています。
SDGsは、エネルギー、建設、食品、モビリティなどの様々な分野におけるイノベーション無しには実現できません。この開発とイノベーションの多くは企業が実施する継続的な創造的プロセスと研究開発から生み出されます。
国際連合は2030年までにSDGsを実現するには年間で5兆から7兆米ドルの投資が必要であると見積もっています。企業にはこうした投資ニーズを満たすために果たすべき役割があります。
企業による人々や地球への悪影響を緩和することで企業がSDGsに及ぼすことのできるポジティブな影響を決して過小評価してはなりません。特にサプライチェーン全体を通じた企業による人権尊重の徹底した取り組みは、社会で最も脆弱な立場にある人々の生活にプラスの影響を及ぼす可能性があります。
SDGsは企業を必要とする一方で、双方は相互関係にあります。企業は弱体化した社会において繁栄することはできず、企業の長期的な成長はSDGsの実現にかかっています。
民間部門には持続可能なビジネスソリューションの開発と規模拡大に取り組む際に明確な既得の利害関係があり、SDGsをレンズとして使用することで、課題に対処し、強力な成長戦略を構築し、その過程で新しい市場にアクセス出来ます。
SDGsは野心的かつ変革的な課題を提示します。事業運営の決定の中心にSDGsを据え、変革を積極的に率いていく役割を果たす企業は、新たな市場機会をものにし、リスクを管理し、2030年までの、またその先の長期にわたる事業運営のライセンスを確保することで、最終的により有利な立場に立つことが出来ます。
2017年にビジネスと持続可能な開発委員会(Business and Sustainable Development Commission)が発行した報告書には、SDGsを追求することでどのように2030年までに毎年12兆米ドルの新たな市場機会を創出し、その過程において3億8,000万以上の雇用創出を実現できるかが示されています。
バリューチェーンにおける食品廃棄物の削減(1,550億米ドル~4,050億米ドル)
持続可能な森林サービスの促進とサプライチェーンにおける森林伐採の防止(1,400億米ドル~3,650億米ドル)
低所得市場における食品ソリューションの革新(1,550億米ドル~2,650億米ドル)
手頃な価格の住宅(6,500億米ドル~1兆800億米ドル)
省エネの建物(5,550億米ドル~7,700億米ドル)
電気自動車およびハイブリッド車(3,100億米ドル~3,200億米ドル)
車両の循環モデルの開発(4,750億米ドル~8,100億米ドル)
再生可能エネルギーオプションの拡大(1,650億米ドル~6,050億米ドル)
機器と機械類の循環モデルの開発(3,050億米ドル~5,250億米ドル)
リスクプーリングで、コミュニティ全体の健康リスクを防ぐための健康保険を提供(3,500億米ドル~5,000億米ドル)
遠隔患者のモニタリング(3,000億米ドル~4,400億米ドル)
患者の遠隔診断のための遠隔医療(1,300億米ドル~3,200億米ドル)
SDGsに対しポジティブな影響を及ぼしている企業は、資本へのアクセスにおいてあらゆるメリットを享受する立場にあることが明らかになってきています。世界的な機関投資家の多くが、SDGsをインパクト投資への高まる需要に応える上での重要な枠組みとみなしています。機関投資家はSDGsへの強いインパクトを示すことのできる組織への投資を増やすことで、そのポートフォリオをSDGsの目標に更に整合させようとしています。
Enel、HSBC、世界銀行などがパイオニアとなったSDGs債などの新たな金融商品、ESGにリンクした貸付制度、ブレンドファイナンスの仕組みは、SDGsへの整合が長期的な資本コストを低下させる上で決定的な要素となる可能性があることを明らかにしています。
SDGsを企業戦略と運営に統合することで、複数のリスクから組織を守ることができます。
環境問題と社会問題が引き続き広がりまた極端化する中、対策を立てない企業はその影響をより切実に感じるリスクがあります。環境問題と社会不安は長期的な経済成長を妨げ、市場を混乱しかねません。SDGsに対処するための手段を講じることは地球にとって最も好ましいことであるだけでなく、企業の将来の業績を守るためにも必要なことです。
SDGsの2030年の期限が迫るにつれ、多くの政府は目標を期限内に達成するために、新たな政策を導入する可能性があります。温室効果ガス排出やその他の持続可能でないビジネス慣行に課金する規制により、遵守を怠る企業は、より高い税金や、事業運営のライセンス面などで、代償を払うリスクを負うことになります。
世界中のステークホルダーは、SDGsの実現化に向けて一層の取り組みを行い、率先する企業を求めています。行動を起こさない企業、またはその進捗状況に関する報告を進んで行わない企業は民間部門における信用低下に更に拍車をかけることになり、長期的な風評を損なうリスクを負います。
SDGsは2030年までに世界で持続可能性な社会を実現するためのロードマップですが、ビジネスをこれらに整合させることの利点についてどのぐらい覚えているか確認していきましょう。
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